「呪術でも魔法でもない、“刀”で切り拓く物語——。」
血塗られた“妖刀”を巡る、宿命と復讐のバトルダークファンタジー!
漫画『カグラバチ』は、従来の呪術・能力モノとは一線を画す、斬撃と緻密な戦術が織りなす異色のダークバトルアクションです。
“静”と“烈”を併せ持つ主人公・六平千鉱(ろくひら ちひろ)の冷徹な戦いぶりと、刀匠の血を引く者としての誇りが、熱く胸を打ちます。
刀鍛冶の息子でありながら、剣術の才能を持つ少年・六平千鉱は、父が鍛えた名刀と共に、強大な敵と戦うことになる。彼の家族は謎の組織によって襲撃され、一命を取り留めた彼は復讐を誓う。
千鉱は、父の鍛えた「妖刀」を手にし、その特異な力を駆使して強敵と戦いながら、自らの過去と刀の秘密を探る。果たして彼は復讐を果たせるのか、そして刀に秘められた力の真実とは———?

原作・作画は、次世代ジャンプを担う新鋭・外薗健(ほかぞの たける)。独特な空気感と映えるアクション描写が話題となり、海外を中心に驚異的な人気があります。
「刀でしか抗えない世界」で、少年は何を斬り捨て、何を守るのか——。
この記事では、漫画『カグラバチ』の世界観・あらすじ・見どころをネタバレありで徹底紹介していきます。
『カグラバチ』漫画紹介
漫画『カグラバチ』は、週刊少年ジャンプ(集英社)にて2023年9月より連載中の剣戟ダークファンタジー漫画で、作者は24歳(連載当時)・外薗健(ほかぞの たける)。
連載開始直後からその圧倒的な画力と硬派な世界観が話題を呼び、X(旧Twitter)ではアメリカを中心にバズを巻き起こし、一時期は日本よりも海外での注目度が高いという異例の現象が起きました。

シリアスで静かな語り口と、哀しみに満ちた復讐劇、そして”刀”と”妖術”という伝統と異能の融合が描かれる『カグラバチ』は、少年漫画の枠を超え、青年誌にも通じる漫画です。
本記事では、漫画『カグラバチ』の壮大な世界観を構成する背景設定や主要キャラクターたちの人物像、物語の展開、さらに物語を支える妖刀(ようとう)と妖術(ようじゅつ)に至るまで、分析・考察し、あらすじと魅力を徹底的に紹介します。
漫画『カグラバチ』あらすじ紹介
かつて日本では斉廷戦争(せいていせんそう)が起こり、六平国重(ろくひら くにしげ)が作った妖刀(ようとう)六工がその勝利に貢献し、国重は「英雄」と称えられる。戦後、国重の息子である15歳の六平千鉱(ろくひら ちひろ)は父と二人で暮らしながら刀匠を目指していたが、六平家に妖術師集団「毘灼(ひしゃく)」が突如侵入。国重は殺害され、妖刀も全て奪われてしまう。

突然父を失い、妖刀を巡る人々の思惑や父の刀への思いを実感した千鉱は、父の復讐と妖刀の奪還を決意。 その後、千鉱は遺された七本目の妖刀「淵天(えんてん)」を手に、国重の旧友の柴登吾(しば とうご)とともに毘灼(ひしゃく)の情報を求めて各地の反社会的組織を殺してまわっていた———。



妖術と妖刀が支配する日本
表向きは平和を保っているが、その裏では“妖術師”と称される超常の能力を持った者たちが水面下で勢力を伸ばし、街を牛耳る反社会組織として妖刀の力を巡り、抗争を繰り広げている…。刀の所持が合法であり、伝統的な鍛冶師たちが今なお重要な社会的地位を持っている世界———。
この世界には7本の”妖刀”が存在し、それぞれが莫大な霊的エネルギー『玄力(げんりょく)』を蓄えており、持ち主の精神や訓練、契約に応じて形状や能力を変化させるという、生き物のような性質を持つ。
父を殺された少年の復讐の物語
主人公・千鉱(ちひろ)は、伝説的な刀鍛冶・国重(くにしげ)の息子。幼少期から父に鍛冶を学び、刀に対する知識と尊敬を深く育んできた千鉱。
国重は、政府非公認の妖術師組織「毘灼(びしゃく)」に襲撃され、開発した6本の妖刀を奪われ、惨殺されてしまう。唯一残された7本目の妖刀「淵天(えんてん)」だけを携えた千鉱は、深い喪失感と怒りを抱きながら復讐の旅に出る———。
漫画『カグラバチ』あらすじまとめ(1~2巻より)
◾️序章(第1話〜第2話)
かつて日本では、妖術師が大規模な戦争「斉廷戦争(せいていせんそう)」を引き起こした。国を勝利へ導いたのは、名刀匠・六平国重(ろくひら くにしげ)が作った妖刀「六工(りくこう)」であり、その存在は国家の命運をも左右する力を持っていた。
平和が訪れた戦後、国重の息子・千鉱は父と二人で静かな生活を送りながら、自らも刀匠を志していた。ある日、突如として「毘灼」と呼ばれる妖術師の一団が家に襲来。千鉱の目の前で父・国重は殺され、妖刀もすべて奪われてしまう。
復讐を誓った千鉱は、唯一遺された第七の妖刀「淵天(えんてん)」を手に取り、父の仇と妖刀を取り戻す戦いに身を投じていく。

◾️VS双城(そうじょう)編(第3話〜第18話)
妖刀の手がかりを追う中、千鉱と彼の協力者・柴登吾(しば とうご)は、情報屋ヒナオの紹介で孤児の少女・シャルと出会う。彼女の身に異変を感じた千鉱だったが、妖術師の連続襲撃により事態は急転。
シャルは人体実験の対象にされていた“鏡凪一族”の生き残りであり、その特殊な細胞は妖刀の材料「雫天石」の安定に不可欠な存在だった。彼女を追うのは、妖刀「刳雲(くれぐも)」を操る狂気の男・双城厳一(そうじょう げんいち)。
千鉱と双城は、シャルを巡り激突。千鉱の妖刀・淵天が見せる異能と、双城の狂気の科学がぶつかり合う戦闘は読者を圧倒する。戦いの中で千鉱は「刀を振るう意味」と向き合っていく。

◆ みどころ
①主人公・六平千鉱の魅力
千鉱は、無口で冷静なキャラクター。だがその内面には、父への愛情と復讐心が激しく燃えています。口数は少ないが、父の遺志を胸に秘めた彼の行動は一貫していてブレない。過去のジャンプ主人公に見られる“感情を爆発させる熱血系”とは異なるが、むしろその寡黙さが彼の覚悟と信念をより強く印象付けています。
また、戦闘においては冷静沈着で、妖刀の性質を見抜く観察眼と戦略性を併せ持つ。

②圧巻の戦闘描写
漫画『カグラバチ』の魅力の1つは、アクションの描写に。剣戟アクションとしての魅せ方はもちろんのこと、攻防やページ構成が秀逸で、一度ページを開けば息を呑む展開が続いていきます。
特に淵天の能力が発動するシーンや、妖刀同士の激突時の作者・外薗健による流麗かつ力強い作画は、ビジュアル的な満足感を読者に与えてくれます。
③妖刀に宿る物語
漫画『カグラバチ』の世界において、妖刀は単なる武器ではない。国重が命をかけて作り上げた6本(+1本)の妖刀には、それぞれ異なる能力が宿っているだけでなく、妖刀を所持する者の信念や背景、狂気を映し出す“鏡”としても描かれています。
双城(そうじょう)が持つ「刳雲」は、殺戮兵器としての象徴であり、彼の思想そのものを表している。これに対し、千鉱の「淵天」は、“父の意志”を受け継ぐ器として、まさに主役級の人格を感じさせる存在だ。
刀というモチーフに、これだけ重層的な意味を持たせる構成は、バトル漫画としても非常に珍しく、読者に深い読後感を残す。
④妖刀とは何か?
『カグラバチ』における妖刀とは、単なる武器ではなく、持ち主と霊的な契約関係を結び、自我を持つかのように振る舞う存在。玄力を媒体として強力な攻撃手段や防御、時には空間操作のような能力まで発動可能。持ち主の精神状態や覚悟が弱いと、その力を引き出すどころか反抗される危険性も…。
⑤命滅契約という呪縛
妖刀の使用者には、命滅契約(めいめつけいやく)という重い代償が課され、契約者の寿命と妖刀の使用時間が比例関係にあるという。つまり、力を使えば使うほど死期が早まるという命がけの契。この契が千鉱の戦いに緊張感を与える。
◆ 漫画『カグラバチ』の考察
物語の大きな軸となるのが、「父の死」と「復讐」である。だが本作は単純な“復讐物語”ではない。千鉱は復讐のために戦いながらも、刀匠としての信念や、父が命をかけて守ろうとした刀を受け継いでいく。
また、妖刀に関わる多くの登場人物たちも、それぞれの“信念”や“業”を抱えており、双城もまた国重を敬愛していたがゆえに妖刀に執着するなど、単なる「悪」では割り切れない場面が描がかれています。
復讐、正義、狂気、信仰——。これらの要素が交錯しながら、物語は“誰が真に妖刀を持つべきか”という問いが魅力の物語です。
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